Perfect Fifth Intervals
(2018.1.18 rel.)

”Perfect Fifth Interval”というのは、音程に関する音楽用語で”完全5度”を表しています。
ヴァイオリンは隣り合う弦との音程をこの”完全5度”で調弦をするのですが、2本の弦を同時に鳴らした時に完璧な”完全5度”の音程であれば、楽器の内部で共鳴し増幅しあい、揺れのない美しい響きとなります。楽器を調弦するとき、完璧な”完全5度”になるように妥協せずに楽器と向き合っていると、ピタリと共鳴し合う瞬間に体全体で安心感を感じます。2音が1音に束ねられ、心も雑念が取り払われるように感じられ、この作業は神聖な儀式のようです。ヴァイオリニストは必ずこの儀式を行ってから音楽に向かい合うのです。

各曲紹介

1:Perfect Fifth Intervals
この曲はヴァイオリン2パート、ヴィオラ、チェロの4人で演奏できるように書いています。2本の弦を1本の指で同時に押さえることで常に完全5度の音程を保ちながら演奏するようになっているので、実際は超絶技巧&指が疲れるという大変演奏しづらい曲です。パートを分けて演奏しても良いと思いますが、音と音の間をスライドさせながらつないでいくので、そのタイミングを8人で合わせることに気を使わなくてはならなくなります。(それはそれで楽しそうです。)いつかコーラスでもやってみたいと思っています。
スコアはこちらからご覧いただけます。→ 『 Perfect Fifth Intervals 』フルスコア

2:Sence of Space
この曲はカリンバという、指で金属板をはじくようにして演奏する民族楽器を中心に、たくさんのパーカッションで構成している曲です。空間に漂っている粒の動きを音楽として認識できるようにまとめたつもりの曲です。

3:Children of Pizzicato
"ピチカート"という、弦を指ではじく奏法で録音した後に、音をずらしてダブらせるエフェクトをかけた曲です。ピチカートの粒々した音色が私は好きです。

4:Rain of Col Legno
ヴァイオリンの弓の木の部分で弦を叩く「コルレーニョ」という奏法だけで演奏しています。普通に演奏するととても小さい音ですが、音量を上げて聴くととても心地よい音になります。

5:Wave
この曲は、普通に譜面を作ってから演奏していると思われるようですが、実際は全パート即興で重ねています。弦楽五重奏の曲で、最初に1stヴァイオリンか3rdヴァイオリンあたりを録音し、その波形を見ながら他のパートを重ねていっています。譜面を書いてから弾くよりも、仕上がりが断然早いですし、実際に他のパートの息遣いを感じながら弾いている勢いもあるので(まぁ、自分が全部弾いているのですが)、ストリングス系をつけるお仕事は大体この方法です。時間に余裕があれば、譜面を書いてから弾く方が緻密な構成が組めるのでちゃんと譜面を書いてから録音していますよ。(笑)
スコアはこちらからご覧いただけます。→ 『 Wave 』フルスコア

6:Particle of Piano
ピアノだけを何台分も重ねて作っています。この曲を制作したのは、お仕事でピアノメインの曲を作った時、ミックスが難しくて苦戦したからです。スキルアップのために試行錯誤しながら作りました。

7:Inside of the Eyes
みなさんは目を閉じた時、何かが見えることはありますか?私は結構な頻度で何か(笑)が見えます。きっと、別次元の世界のものか、目の病気かですね。(笑)

8:Four In One
出産後、カルテット編成の作曲&演奏依頼があった時に、ビオラパートは自分で弾けたとしても、チェロだけは誰かに頼まないといけなかったのですが、大体のチェロ奏者は忙しくスケジュールがなかなか合わなかったりで大変でした。(小さい子を預かってもらうためには、空いている施設を探すのがまず難しいので。)試行錯誤の結果、自分でチェロパートも弾けるように5弦ヴァイオリンにオクターブ下の音域が出せる弦を張り、全パート自分で弾いて自分で録るというスタイルを作りました。この曲は、その記念すべき一曲目です。(笑)

  

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